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ハワイからのレポート 第4号 アメリカ大統領選の結果を受けて

ハワイ州留学中の西片和代弁護士から,アメリカ大統領選挙の結果を受けた,ハワイの様子のレポートが届きました。ご覧ください。
 
 
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大統領選挙結果を受けてのハワイの様子をリポートします。

事前の世論調査に反して、トランプ氏が選挙で勝利を収めました。
州で多数を獲得した候補者がその州に割り当てられた数の「選挙人」を総取りするという独特の「選挙人制度」のもと、合衆国全体の得票数ではヒラリー氏6027万票余、トランプ氏5993万票余でヒラリー氏が上回ったものの、選挙人数で過半数270人を超えたトランプ氏が次期大統領に決まりました。
また同時に行われた議会選挙の結果、上院・下院ともに、共和党が多数を占めることになりました。

ハワイは、他民族・多文化が共生する土地柄もあり、少数者に寛容な政策をとる民主党が盤石です。
選挙結果を受けて重苦しい雰囲気も漂い、ロースクールでは学長の呼びかけで臨時の意見交換会が開かれました。
トランプ氏の過去の差別発言の対象となった黒人、ヒスパニック、イスラム教徒、LGBTの学生等からは、自らの存在価値を否定される悲しみ、自分やその家族に迫りくる恐怖や怯えを含んだ発言が次々にありました。
トランプ氏の価値観をアメリカ人の半数近くが支持したという事実が、極めて深刻に、危機感をもって受け止められています。
また「選挙人制度」の妥当性についても議論が始まっています。

以前にもリポートしましたが、連邦最高裁判事の任命も重要な関心事です。
連邦最高裁判事は9名で終身制のため(日本では70歳が定年です)、一旦選任されると長期にわたって国の重要な方向性を左右する可能性があります。
最高裁判事の任命は大統領の権限で、上院の承認が必要とされており、現在欠員となっている一つの席にトランプ氏の指名する保守派の判事が就任することは間違いありません。
更に現在8名の判事のうち2名が80歳を超えており、大統領の任期中に保守派の判事に入れ替わる可能性があります。
つまり、トランプ氏の任期は4年ないし8年で終わっても、その後何十年にもわたり、トランプ氏が任命した最高裁判事がアメリカの司法判断に大きな影響を与えることになるのです。

以上